なぜ新人漫画家はデビューした後、消えてしまうのか?【その2】

 ちなみにですが、私は行き詰まってしまいましたが、順調に進むとデビュー後は

次のようになります。(私がいた編集部の場合)

 

①増刊号へ読み切りが掲載される。

②その後も、何度か増刊号に読み切りが掲載される。

③編集部の評判が良ければ、本誌へ読み切りを掲載。

④読者反応が良ければ、もう1度読み切り掲載。または続編。

⑤本誌で三回連載

⑥本誌で連載

 

なかなかの長い道のりですね。

しかし、進む人は一気に⑥まで進みます。

 

【新人漫画家友達と疎遠になってしまう】

 

だいたい、デビューが同じころの漫画家とは仲良くなることが多いです。

投稿中から知ってる仲間ですからね。

 

投稿中に編集部が開催する漫画スクール。

デビュー前後の漫画家が編集部に集められて勉強会。そして編集部が準備して

くれたホテルにみんなで宿泊。…などなど、同期デビューの漫画家と出会う機会は

多く自然と仲良くなっていきます。

 

が、デビューした後はみんな仲良く雑誌に掲載されるというわけにはいきません。

雑誌に掲載されるのは確率ではなく、載れる人はいつも載れる。載れない人は

いつも載れないんですよね。

 

そのいつも載れなかった私は、増刊の予告カットを見てまあショックを受けるわけ

です。「友達は載ってるのに…」と。私の漫画は面白くないんだなと落ち込みます。

その繰り返しです。向こうもなんと声をかけてよいのやらという気持ちだったの

かもしれませんね。

 

出版社では年に一度、新年パーティがあるのですがだんだん私は出席しなくなって

しまいまいました。なんだかそんな気分になれなかったんですね。

ネームを描いても「これ何が面白いの?」と担当から言われる。会議には通らない。

毎日アルバイトをしているだけ。でも友達は掲載されている。カラーページを

もらっている。単行本も出すことが決まったらしい。もう超ブルーなわけですよ。

 

投稿中はあんなに楽しかったのに。デビューしてしまえば、当然周りはレベルが

高いわけで現実を知りました。私、才能がないんだ!と。気づかざるをえないん

ですね。

 

当然、新年パーティに出席しなければ友達とは会えません。でも会うとつらいので

行く勇気もありません。担当さんも厳しい人で、いつも怒られていたので合わせる

顔がありません。

 だんだん同期の漫画家とは疎遠になってしまいました。

 

まあ、でも今思えば仕事がなかろうと出席するべきだったと思います。

堂々と、あつかましく行っていいんです。だってその雑誌でデビューして、その

権利があるんですからね。同じ境遇の漫画家はたくさんいたはずですから、会って

愚痴でも言ってスッキリしてしまえばよかったんですね。これは反省です。

 

 

 【ようやくデビュー後、初掲載が決まる】

 

会議に 落ち続けましたが、ここでやっと掲載されることになりました。

すごくうれしかったですね。

 

掲載されることになった決め手は、「ネームを描くのがある程度うまくなったから」

でしょうか。

まあ、もともと私はギリギリのデビューでした。若いから選ばれたというか。

なので絵も下手だし、話もびっくりするくらい下手だったんですね。

 しかしまあ、何年も編集さんに鍛えられればなんとか上達するものです。

 

◆増刊号の読み切り掲載の流れ◆

 

①編集部より、会議で選ばれたという連絡が来る。

 (ちなみにタイトルは、ネームを提出する時点で作っている)

 

 ②下絵を描く。セリフも描き込む。提出して、チェックをしてもらう。

 このときのセリフをもとに担当さんは写植を作ります。

 

 ③この間に、表紙のラフ・本誌に掲載される予告カットのラフを提出。

 

 ④OKをもらえたら、ペン入れ作業へ入ります。

 そして〆切までに原稿を宅配便で送る。(デジタルだとデータで送る) 

 

およそ一か月ほど時間をもらえると思います。

そしてこの後、次回の会議に提出するネームを作ります。

 

 

【しかし、やっぱりこの後はネームが通らない】

 

一度目は掲載される基準が緩いんですが、二度目三度目四度目となるほど

選ばれるのは厳しくなっていきます。

私がそれなりに上達したといっても、そう甘いものではありません。

 

まあ、描いても描いても、会議に通らない。

もう本当に描きつくして、これ以上何を描いたらいいの!?という気持ち

でした。

 

 2,3年もやっていると、ある程度うまく話はまとめられるようになります。

もう編集に何をつっこまれるかがわかっているんですね。

なので、話はうまくまとまっているんです。それなりに面白くもできてる。

 

 しかし、これってそれなりのネームで編集に通るだけのためのネームなんです

よね。そういうネームはすぐに編集さんはわかります。

「心から描いてない」と。でも何を描いても突っ込まれるので、そういう人の目を

気にしたネームしか描けなくなっています。もう投稿中のキラキラ輝いていた気持ち

がないんです。だって何を描いても怒られるから。

 

 そしてあるとき、担当さんに何も突っ込まれることがないネームを完成させること

ができるようになります。もう直しのないネームを、自分で描けるようになるんで

す。しかし、会議には通りません。

 

「なにも言うことはない。よくまとめてる」

「でも選ばれなかった」

 

もうどうすればいいかわかりません。ネームはうまくまとめられるようになった

のに、編集の意見は辛らつになっていきます。

 

「私の漫画には決定的な何かが足りない」

「熱い気持ちが伝わってこない」と。

 

でも描けないんですね。もう何を描いていいかわからないんです。

思いつかない。5,6年ネームを描き続けてきました。義務のように描いてしまって

るのかもしれません。とにかく思い悩んでしまう。楽しい気持ちで漫画を描けない。

あんなに子供のころから漫画家になりたかったのに。好きな雑誌にデビューできた

のに。

 

…と、考えこんでしまう・手が止まってしまうという状況に私は陥ってしまいました。

二度目の魔のループです!

 

 

その3へ続きます !

 

 

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