なぜ新人漫画家はデビューした後、消えてしまうのか?【その3】

 

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【担当から続けるのか辞めるのか、聞かれる】



描けないのに担当からは電話がかかってきます。だんだん、電話も取りたく

なくなってきます。どん詰まりです。



まあしかし、描けない私に担当は問い詰めてくるわけです。

「なぜ描かないのか」

「この先どうするのか」

もしかして、このあたりで辞めてまう人は多いのかもしれません。

でも冷静に考えるとわかるんですが、ここではっきり辞めるか辞めないかを

言う必要はないんですよ。疲れたから休みたいと言えばいいだけ。

 

 


正直、疲れてると面白い漫画なんか描けるわけないんですよね。

精神でも病んだら元も子もない!

 

別に無理にがんばらなくたっていいんです。きついときは休む!

離れてみる!ほかの仕事にチャレンジしてみる!

そうすると、案外またやる気が出てネームを描けるようになります。

が、漫画を描く人は真面目なので、真面目に考えてしまいます。

描けないなら、辞めなければいけないのかな?と。

 



【意外と重要!デビューする雑誌を間違ってはいけない!】

 

 

しかし、しつこい私はネームが描けなかろうと、才能がなかろうと諦めるつもり

はありません。実はこのころ、別の雑誌で一からやり直したほうがいいんじゃ

ないかと思い始めていました。

 

だんだん、自分の描きたいもの、描けるものがわかってきたんですね。

この時、所属していた雑誌はファンタジーが多めの雑誌でした。

私はこの雑誌がとても好きだったんですが、なんとこういう話は描けなかったん

ですね。普通の恋愛・日常の漫画のほうが得意だったんです。これに、デビュー

してから気付きました。いやいや、そんなことあるの!?とお思いでしょうが、

こういうことってあるんです。

 

 

それを担当に伝えます。返事は…

「ああ、そうなんだ。」「それがいいかもしれないね」とあっさり。

まあ、こういうことに慣れているんだと思います。こうやって出ていく人は多い

んでしょう。

 

 

※私はここで雑誌を変わってしまいますが、「どうしてもその編集部がいい!」と

思っている人はたとえ掲載されなくても「やめます」と言わないほうがいい。と

思います。

一昔前は増刊に載るのも大変でしたが、今はweb媒体が増えて掲載枠が増加してます。

チャンスが多くなってますね。10年以上載れなかったのに、突然仕事をもらえるように

なった!なんてよくある話です。




ここから急展開!…といきたい所ですが、もう少し停滞します。

なぜなら…結婚して子育てが始まったから!です。

 

 

【ナメてました、子供を育てるということ】

 

ほかの出版社に漫画を持ち込もうとしていた私ですが、ここで結婚・出産を

しました。子供が欲しかったので、結婚してすぐに子供が欲しいと思ったのです。

まあ、結婚して子育てしながらのんびり漫画描けばいいや、くらいに思っていた

んですかね。だが、しかしです。

 

 

そんなうまくいくわけねぇだろ!!

 

 

…と、当時の私に言いたい。

そう、そんなうまくいくわけがないんですよ。

赤ちゃんを抱えて、漫画を自由に描けると思っていたんかい!

やりたいことはやれるときにやっとけよ!と…。

 

妊娠中は、まあノンビリできたんです。

生まれてからも、初めのころは赤ちゃんは寝ている時間が長いので、その隙に

描いていました。

が…徐々に、起きている時間が長くなってきて、自分の時間がなくなっていく!

 

赤ちゃんが起きている間は、付きっ切り。目を離せません。

しかも動き出したら、もう大変!

 

 

 

◆ちなみにこのころのスケジュールはこちら。

 

 

①朝は6時に起床。(赤ちゃんから叩き起こされる)

②掃除、洗濯、旦那さんのお弁当作り

③9時から11時まで散歩、公園。(長男は6カ月で歩き出した)

④お昼寝させる。

⑤14時から16時まで散歩、公園。

⑥17時夕飯・お風呂を済ませる。

⑦19時半、寝かしつけ。

⑧そのまま自分も寝落ち。

⑨そして夜中に起こされる。

 

 

いつ漫画描いてんだよ!

 

そう…描いてないんですよ…。

正確に言うと、1日1時間から2時間くらいは描けました。けどそんな短い

時間じゃ、漫画一本描き上げることなんかできません。

しかも、赤ちゃんがいるのに東京まで持ち込みなんて行けるわけがない。

 

保育園に入れて、漫画描けばいいじゃん!とお思いでしょうが、無理なんです。

だって仕事がないから。

連載を持ってる漫画家なら子供を保育園に預けて働くこともできるんですが、

載るかどうかさえわからない漫画家は子供を保育園に預けて描くことはできない

んですよ。収入がないのに、保育料だけ払うなんてできません。

 

この頃、本当に自分は漫画が描きたいんだ!と思い知らされました。

ネームが通らない頃は手が止まってしまったのに、こうして時間がたつと

また描けるようになるんですね。不思議です。

 

しかし、まだまだ描けません。

二人目が生まれるからです。

 

【子供が大きくなったら、営業事務の仕事を始めた】

 

長男はやんちゃでしたが、次男は割とおとなしめでした。

とはいえ、ますます自分の時間はない。

 

 

 次男が少し大きくなった頃、仕事を始めることにしました。もう家にいても

漫画を描くことはできないですからね。外に働きに出て、お金をもらうほうが

楽だなと思ったんです。

 

未経験でしたが、会社で営業事務の仕事を始めました。営業とついていますが

営業をするわけではありません。事務仕事のかたわら、かかってくる電話注文

を受けて、メーカーに電話をし在庫を確認したりするんですね。中継ぎです。

 

四年間、その会社で働きました。

毎日、保育園、会社、スーパー、自宅の往復です。もう目まいがしましたね。

私はこのまま一生漫画が描けないのかと。

 

しかし、この時の経験はとても貴重だったと思います。なぜかというと、この先

私は女性誌で漫画を描くことになるからです。

編集は、漫画家が体験してきたことを描かせようとします。会社で働いた経験が

あれば、会社で働く女性の漫画が描けるわけですね。

 

ここでチャンスがやってきます。

やっぱり子育てもがんばれば、報われるんですね。

次男が幼稚園に入るころになると、ずいぶん楽になりました。時間ができ、夜

少しですが漫画を描く時間を取れるようになりました。ちまちまと描き進め

、web編集部に持ち込みました。

 

そして2年間の連載をもらうことになり、ようやくこのときから漫画家としての

生活がスタートできるようになりました。

 

その4へ続く!

 

 

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