なぜ、新人漫画家は消えてしまうのか?その4

Web編集部で連載スタート

 

持ち込んでから、半年後に連絡が来ました。もう忘れていた頃です。

まずメールが来ました。それがこちら。

 

「突然のメール失礼いたします。

先日、作家選定会議が行われ次期ラインナップ漫画家としかおちゃんさん

にお願いしたいとご相談にあがらせていただきました」

 

「案件詳細

 

レーベル名:○○

ジャンル:少女漫画

連載:4話

ページ数:28p

印税:別途発生

原稿料の支払い:〆切月より1か月後」

 

 

実はWeb漫画事情をまったく知らなかったんですが、(読んだこともなかった)

いきなり連載をもらうことが多いんですね。驚きました。

 

そして応募すれば、案外簡単に仕事がもらえる。雑誌のように選考会議など

ないんですね。選考会議に通らなかったダメ漫画家の自分としては、まとまった

仕事をくれるのはうれしいしありがたかったです。そして、連載が終わっても

また次の連載をくれました。次は10話連載でした。

 

もし、「雑誌でデビューできない」「デビューしたけど、うまくいかない」と

いうことであればこういう道もアリかなと思います。

 

ただ、よく知らずにweb漫画業界に飛び込んだだけあって、そのweb出版社は

??な所もあって…。(たぶん怪しい感じのWeb漫画出版社だった)

 

 

Web出版社の担当編集は素人

 

その後、電話がかかってきましたが、その方は完ぺきな漫画素人でした。

つい最近まで普通の会社で働いていたらしいです。漫画はとても好きなよう

ですが、漫画の描き方等は何も知りません。

 

そしてweb漫画業界は当然デジタル作画の方が多いので、その担当もデジタルに

関してしか知らない。そして私は当時アナログ作業しか知らない。(今では

ようやくフルデジタルで描けるようになりましたが)担当が使ってくる用語が

「???」でした。いちいち質問しましたね。

 

 

 

そして、連載へ向けての打ち合わせスタート。流れとしてはこんな感じです。

 

①全体のストーリーをまず作る(4話分のプロット)

②キャラ作成

③表紙を作る(カラー)

④ネーム

⑤下絵

⑥原稿

 

ちなみに、そこは出版社というより出版社への中継ぎのような会社(編プロ)

でした。実際は、別の中規模の出版社が仕事をくれたわけです。その中規模

出版社がレーベルを持っているんですね。そして中規模出版社は、編プロに

漫画家とのやり取りを任せているといった感じです。

 

なので私はこの担当とプロット・ネーム・キャラ作成を進めていく中で、

担当が「これでOKかな?」という所で、担当が中規模出版社に「これでOK

でしょうか?」と聞きます。ダメであれば、もう一度初めから担当と修正をし、

OKがもらえれば次の作業へ移ります。ちなみに、中規模出版社の編集という

のは素人ではありません。大手出版社と変わらない指導力があると思います。

 

 

そうして担当と全体のプロットを作っていきます。ここのWeb出版社はかなり

作りこむようで、私がPCで作成し提出すると、全部赤で直され返ってきました。

そして電話で打ち合わせのし直し。再度提出。そして赤。最終的にはまったく

違う話が完成しました。ここのweb出版社は、元ネタは漫画家に作らせるの

ですが、ストーリーの流れは全部編集部が考えてしまいます。キャラ設定も

私が作ったはずなのに、担当は「このキャラはこういう行動をしません。こう

いう考えをするんです。」と言い、プロット内のキャラの行動・言動を全部

変更。中には「それは絶対変だろ!」と突飛で急な言動・行動があっても

いうことを聞かなければいけません。というか言うとおりにしないとOKを出し

ません。ちなみに全体プロットを作るのに3か月かかりました。2,3日おきに提出

をしてやり取りをしましたが、結構かかりましたね。

 

 

そして次はキャラ作成へ。担当は、私が描く絵に納得がいかないようで他の

漫画家の絵の真似をするように指示してきます。目の描き方・鼻の書き方・髪の

描き方等、これはこの漫画家の真似をするようにと言ってきます。フォルダに

たくさんのWeb漫画家のスクショ写真を入れて、どんどん送ってきます。

正直これは戸惑いました。雑誌の編集は、絶対人の真似をしてはいけないと

言われていたので真似していいんだろうかと…。しかし、言うことを聞かないと

OKは出ないので、従うしかありません。表紙はデジタルでなければ

ダメだそうで、線画だけ提出し、着色は外部に発注したようです。表紙の修正含め

2か月ほどかかりました。

 

 

 

そしてようやくネームへ!またこのネーム作業が難関で…。

私が前在籍していた出版社は、漫画好きな人が読むいわゆる、王道少女漫画雑誌

ではありませんでした。一般向けではないというか。

 

でも漫画って雑誌が違えば、表現方法やキャラが全然違いますよね。

しかし担当は別冊〇〇〇〇トしか読んだことがないようです。(子供の頃に

姉の買っていたり〇んは読んでいたそう)

 

なので別〇(略します)のような表現しか認めせん。というか理解できない

ようです。いわゆる一般向けでない少女漫画の表現は、まったく意味がわから

ないんだそうです。気持ちや感情が理解できないし、共感できない。面白い

ポイントがわからない。のだそう。

 

正直、出来上がった自分の作風を変えるってとても難しい。(ましてや30代)

しかし別〇風に描かないとOKがでないので、そういう風に描くしか

ありません。幸い別〇の漫画はたくさん読んだことがあるので、こんな風に

描いてほしいんだなというのはわかりました。

 

あと戸惑ったのはコマ数です。1pに10コマ入れてくれとのことでした。

10コマ!?と驚きました。雑誌の時は3コマから5コマでいいと言われていたのに。

これは原稿作業の際、地味に大変でした。

 

ネームも提出すると、全部赤で直され返ってきます。セリフも担当が新たに考え

描き直されています。直しは3回ほどでしょうか。そこで担当はweb出版社の

編集長に確認をとります。ここで、編集長が「ここはこうではない」という

まったく逆の指示を出してきます。担当と直しを進めたのに、「それは間違って

いる」ということです。なのでまた1からやり直しです。正直、最初の直しの時点

で編集長に意見を聞いておいてくれよ!と度々思いましたね。編集長がOKを出す

と次は中規模出版社の編集に確認を取ります。するとまた別の意見を言ってくる

わけですね。またネームは描き直しです。もう負のトライアングルです。漫画家

にとっては手間でしかないです。描き直した内容と、時間は何だったんだと…。

 

 

その5へ続きます!次回で最後です。

 

 

www.kaorin0o0.com

 

 

www.kaorin0o0.com

 

 

www.kaorin0o0.com

www.kaorin0o0.com